SELMER MARK6 アルトサックスのオーバーホールをさせていただきました。

シリアル13万台(1964年製)のSELMER MARK6オーバーホールさせていただきました。

※オーバーホールという定義がどこまでする行為なのかは人や場合によって異なりますが、今回はオリジナルをある程度尊重する意味でリラッカーはせずに交換すべきところはタンポを含め全て交換し、一番管二番管のつなぎ直しや、曲がり凹み修理等、やれることは全て行います。


1最初の状態です。長年の埃や汚れが多く、外も中も錆や緑色の緑青が非常に多い状態でした。また管体も歪んでおり、はんだも取れかかっている箇所が多数です。なお当然タンポは完全に全滅で、針ばねも錆が酷くバネ圧が全く出ていないためクローズドキイもしっかり閉じない状態です。



2 まず内部の洗浄やさび落とし、歪み矯正のために一度分解します。分解すると内部の状況がよくわかります。この後洗浄して汚れや錆は全て落としました。息が通り音が反射する内部の状態は非常に重要な箇所なので、外見だけ綺麗にするのではなく中も丁寧に汚れを落とし、キーポストが陥没してできた凹み出しも行い、適切な管内状態及び管内形状に戻します。写真は汚れた管内状況です。


3 タンポの状態です。全体として破れや、写真のようにカビや汚れが酷くまともにトーンホールを塞ぐことのできる状態ではありませんでした。タンポ交換については、今回は当時と同じ仕様の新品のタンポに交換しました。キーはすべて錆を落としクリーニングも行い、曲がり歪みも精密に調整してスムーズで快適なキーアクションを再現しました。


4 タンポを全て交換した後は2番管とU字管を繋ぎ直します。製造時の繋ぎが甘い楽器や経年劣化でつなぎが甘い楽器は少なくなく、繋ぎ直すことで鳴りや反応が向上するケースが多いです。その後フェルト、コルク、タンポ等々消耗品を新品に交換して組み上げて完了です。また組み上げの際は、オーナー様の楽器に求める点や演奏スタイル、理想の音色等々をヒアリングさせていただいて、理想の一本を一緒に作り上げさせていただきます。今回はヒアリングさせていただいた結果、ジャズ向きの楽器に調整して仕上げさせていただきました。当日演奏確認もしていただき細部も調整しました。

↓完成したMARK Ⅵです。いい色に焼けたラッカーと60年前ですが年代を加味すると綺麗な見た目に蘇りました。もちろん音もMARK Ⅵと求められるクオリティに応える楽器になりました。

追記:オーナーの方はJazzhouse B ♭というお店でサックス教室をされています。

https://www.facebook.com/pg/Jazzhousebflut/about/?ref=page_internal

管楽器工房ラグリゾン

当店は大阪府高槻市にあります管楽器のリペア工房です。 また完全調整済みの楽器の販売も行っていますので是非ご検討ください。

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